1. 木造軸組構法とは?
木造軸組構法(在来工法)は、柱と梁で建物を支える日本伝統の木造構法です。
古くは寺社建築から農家の家まで広く採用され、現代でも 木造住宅の主流として進化し続けています。
- 柱(縦)と梁(横)で骨組みをつくる
- 壁は後から自由に配置でき、間取り変更が比較的しやすい
- 日本の湿度・地震に適した構造的メリットを持つ

2. どんな仕組みで家を支えているの?
■ “点”と“線”でつくる ― 木造軸組の立体フレーム構造
木造軸組構法は、柱(縦の部材)と梁(横の部材)を組み合わせて、建物の骨格=フレームをつくる構造方式です。
柱と梁が交わる部分は、建物を支える「点」として機能し、それらが連続的に連結されることで「線(軸)」となり、さらに複数の線が積み重なって立体フレームが構成されます。
この“点 × 線 × 立体”という構造は、次のような特徴を持ちます:
- 地震力や風圧力を柱・梁・筋交いが分散して受ける
- 壁そのものが構造体ではないため、間取り変更しやすい自由度が高い
- 水平方向の力に対して、骨組み全体がしなやかに追従するため粘り強い
つまり木造軸組は、剛性(かたさ)と靱性(しなやかさ)の両方を兼ね備えた、日本の地震環境に適した構造なのです。
■ 接合部が命 ―「ほぞ・仕口」から「金物工法」への進化
木造軸組において、最も重要なのが接合部(継手・仕口)です。
構造力学的に、柱と梁がどれだけ強固に一体化しているかが耐震性能を左右します。
● 伝統工法:木と木を組み合わせる高い技術
古くから日本では、
- ほぞ(凸状の突起)× ほぞ穴
- 仕口(部材を斜め・欠き込みで接合)
- 継手(長さ方向の延長)
など、木の特性を熟知した大工の技術で強固な接合部が作られてきました。
これらは、寺社建築のように数百年もつ耐久性を生み出した職人技です。
● 現代工法:金物工法で強度のばらつきを解消
一方、現代の住宅では「耐震性能の数値化」や「施工品質の均一化」の観点から、
金物工法(接合金物)が主流になっています。
金物工法のメリット:
- 接合強度が安定し、構造計算の精度が上がる
- 加工がプレカット化され、全国どこでも品質を均一化できる
- 地震時の引き抜き力(柱が持ち上がる力)に強い
- 施工が簡易で、熟練度に左右されにくい
代表的な金物:
- 羽子板ボルト
- ホールダウン金物
- かすがい
- プレート金物
- 座金付きボルト
これにより、木造軸組構法は伝統工法のしなやかさ × 現代工法の強固さを併せ持つ構造へと進化しています。
■ “しなやかで丈夫”な家を支える合理的な仕組み
木造軸組工法は、
- 点(接合)で支え、線(軸)でつなぎ、立体で受ける構造
- 伝統工法の技 × 金物工法の強度向上
- 筋交い・耐力壁で水平力に強い構造
という日本独自の進化を遂げた木造住宅技術です。
4. デメリットとその対策
■ デメリット
- 大工の技量で品質差が出やすい
- 工期がプレカット工法に比べると長い
- 壁量(耐力壁)のバランスが悪いと地震に弱くなる
■ 現代ではこう改善されている
- プレカット加工で精度を均一化
- 構造計算の普及により耐震性が数値化
- 断熱気密の技術進歩で性能向上
5. 2×4(ツーバイフォー)工法との違い
| 項目 | 木造軸組構法(在来工法) | 2×4工法 |
|---|---|---|
| 支え方 | 柱と梁の“線”で支える | 壁の“面”で支える |
| 間取り自由度 | ◎ とても高い | △ 制約が多い |
| 施工スピード | △ やや長い | ○ 比較的早い |
| 伝統性 | ◎ 日本の文化に根ざす | ー 北米発祥 |
| リフォーム性 | ◎ 高い | △ 壁を取りづらい |

6. 木造軸組構法とヘンプクリート
わつなぎは、日本の木造軸組構法とヘンプクリートの相性に着目し、
その断熱・調湿性能を最大限に活かすリノベーションモデルを開発しています。
柱と梁で構造を担う軸組工法は、ヘンプクリートを“非構造の断熱壁”として安全に併用できる点が強みです。
現場での施工品質を担保するため、最適な壁厚・乾燥工程・透湿設計を体系化中。



コメント