理想と制度のあいだで、自然素材を“暮らし”へ届けるために

わたしたち「株式会社わつなぎ」は、現行の法制度の中、自然と共生する空間をどう設計・施工できるかに向き合っております。

欧州で実績のある「ヘンプクリート」のような自然素材は、断熱性・調湿性・環境負荷の低さなど、これからの暮らしに必要な性能を秘めた素材です。

しかし同時に、「施工方法/コスト」や「法制度(建築基準法/内装制限/建材規格)」という現代建築における“越えなければならない壁”も存在します。

だからこそ、理想と現実のあいだをつなぐための実験と検証を重ね続けています。共創型実証の場=Living Labを展開し、実際に暮らしながら試す創るという循環を産んでいます。

設計者・施工者・住まい手が共に実験し、共に学び、共に次のスタンダードを育てていく。この姿勢が、わたしたちの研究開発の根幹です。

建築における「自然素材の壁」

  • 不燃材基準(国土交通省告示第1401号など)への対応
  • 建築基準法に基づく防火・耐火性能の要件
  • 断熱材としての性能明示と規格取得(JIS等)
  • 申請手続きや認定取得にかかるコスト
  • 継承が難しい職人技術(左官など)の担い手不足
  • 短期的なコスト競争力の弱さ

これらの課題を正面から捉え、研究と社会実装の両面で突破していくことが、わたしたちのR&Dの本質です。

だからこそ、わたしたちは素材だけでなく「共に施工し、共に試す場」を重視してきました。

主な研究開発の取り組み

  • HES MIX(ヘンプ石灰断熱材)の熱伝導率試験とJIS規格取得
  • 複合層による現行建築基準法内で問題なく使える不燃性向上+快適性両立の構法開発
  • 木繊維・ヘンプ・石灰等による複合建材の性能実験・組成改良
  • 建築士・左官職人に向けたマニュアル・施工指導体制の整備
  • 大学・研究機関・自治体との共同研究/実証プロジェクト
  • CO₂排出を抑える低環境負荷施工プロセスの開発
  • 建具や家具など、建築基準法外での活用の道


Living lab Tazawako ― 壊れゆく建物に、素材と暮らしの再生を

秋田県仙北市・田沢湖高原にあるかつての温泉民宿を舞台に、わたしたちは「壊れゆく昭和建築を、自然素材で再生する」実証実験に取り組んでいます。

このリビングラボでは、ヘンプクリートをはじめとする自然素材を実際の居住/宿泊空間に施工し、四季を通じた温熱・調湿性能の検証、宿泊者からのフィードバック、職人との技術共有などを継続的に行っています。

Living Labとは

「リビングラボ(Living Lab)」とは、実社会の中で市民・企業・研究者など多様な立場の人々が協力し、新たな製品や空間を共創・検証する場です(出典:European Network of Living Labs, 2023)。

自然素材を使って、法制度の制約の中でも快適な空間をどう実現できるか
机上の研究にとどまらず、実際に使い、試し、改善していく循環をつくっています。

  • 古くなった建物に、どこまで自然素材で対応できるのか
  • 性能評価だけでなく、住む・泊まるというリアルな体験の中での気づき
  • 職人と共有する手仕事の再現性と持続可能性

共創パートナー募集

わつなぎの研究開発は、常に「誰か」と共にある挑戦です。
現在、以下のようなパートナーを広く募集しています:

  • 素材研究・建築環境の研究者・大学
  • 自然素材の施工・設計に興味のある建築士・工務店
  • 地域資源の活用・リノベーション事業者
  • R&D拠点の開発・活用に関心のある自治体・企業

ぜひ、未来の暮らしを共に実験していきましょう。

現在、泊まり込みでの作業協力者や、見学希望の方を随時受け付けています
興味のある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。